3DスキャナーでRhinoユーザーのモデリングが変わる!連携メリットと実践ワークフローを徹底解説
- 大橋竜也
- 2 日前
- 読了時間: 7分
「モデリングはRhinoだけで十分」と考えていませんか? 実は、そこに3Dスキャナーを加えるだけで、これまで時間のかかっていた複雑な形状や有機的なデザインを、現実世界から一瞬でデジタルデータに取り込めます。あなたのモデリングワークフローは、全く新しい次元からスタートできます。
この記事では、最新のRhino 8環境をベースに、3Dスキャナーを導入することで得られる具体的なメリット、スキャンからデータ活用までの実践的なワークフロー、そしてRhinoと相性の良いおすすめの機材までを網羅的にご紹介します。
Rhinoユーザーが3Dスキャナーを導入すべき理由
手作業でのモデリングには、どうしても精度や時間に限界があります。3Dスキャナーは、こうした課題を解決するための強力なソリューションです。
よくある課題 | 3Dスキャナーによる解決策 |
手書き図や写真からの再現は精度・時間に限界がある | サブミリ単位の精度で現物を**“そのまま”デジタル化**できる |
複雑な曲面や有機的形状の**トレースに時間がかかる** | ShrinkWrapやQuadRemeshで即メッシュ化し、NURBSやSubDへスムーズに変換 |
既存部品に合わせた設計やデザインの検証が手間 | 現物を高精度で計測し、Rhino上で“当たり”を確認しながら設計することで時間を大幅に短縮 |
Rhino導入前の商品デザイン変更の際にCAD化する必要がある。 | 点群やメッシュデータを使った偏差解析で、CADモデルとの誤差を正確に可視化できる |
GrasshopperをRhinoで使いたいがベースデータがない | ベースとなるスキャンデータがあるのでそこから簡単にラティスやデザイン変更などを行える。 |
3Dスキャンデータを最大限に活かすRhino 8の強力な機能
Rhino 8には、スキャンデータを効率的に活用するための機能が標準で搭載されており、プラグインと組み合わせることで、さらに可能性が広がります。

ShrinkWrap:荒れたメッシュデータを一瞬で修復
スキャンしたままのデータは、穴が開いていたりノイズがあったりします。ShrinkWrapコマンドは、そうしたデータを自動で補修し、3Dプリントにも対応可能な** watertight(水漏れのない)なメッシュ**を生成します。これにより、面倒な手作業の修正時間を大幅に短縮できます。

QuadRemesh + SubD変換:滑らかな曲面を自在にコントロール
QuadRemesh機能を使えば、高密度のスキャンメッシュを、編集しやすいきれいな四角形ポリゴンに再構築できます。さらに**「SubDに変換」**オプションを使えば、少ないポリゴン数でありながらも、滑らかな曲面を持つSubD(サブディビジョン)オブジェクトに変換可能です。エッジのシャープさや丸みを後から直感的に調整できるため、工業デザインの試作プロセスに即座に応用できます。

Mesh2Surfaceプラグイン:スキャンデータからCADモデルへ
Rhinocerosの豊富なプラグインの中でも、Mesh2Surfaceは3Dスキャンデータからのリバースエンジニアリングに特化しています。スキャンしたメッシュデータから平面、円筒、フィレットなどの形状を自動で抽出し、編集可能なNURBSサーフェスを生成します。これにより、設計変更や再デザインのためのCAD化作業が飛躍的に効率化します。
Grasshopper連携:コンピューテーショナルモデリングへの応用
スキャンデータをGrasshopperに直接読み込むことで、アルゴリズムに基づいたデザイン生成が可能です。Closest PointやSurface From Pointsといったコンポーネントを使い、スキャン形状に沿ったボロノイパターンやラティス(格子)構造などを簡単に作成できます。

3DスキャンからCAD化まで:Rhinoでの代表的なワークフロー
ここでは、卓上型の3Dスキャナーを使った一般的な作業手順をご紹介します。
ステップ | 主な使用ツール | ポイント |
① スキャン | 卓上型3Dスキャナー(例: Matter and Form THREE) | 自動回転テーブルを使えば約3〜5分で完了。色情報(テクスチャ)付きのメッシュデータを取得します。 |
② データクリーンアップ | スキャナー付属ソフトウェア | スキャン時に発生した不要なノイズを除去し、扱いやすいようにポリゴン数を削減します。 |
③ Rhinoへインポート | OBJ / STL / PLY 形式 | 特別なプラグインは不要です。Rhino 8は数千万ポリゴンの重いデータでも安定して読み込めます。 |
④ メッシュ修正・変換 | ShrinkWrap / PushPull / SubD | Rhinoの強力なメッシュ編集機能を使い、データを整えます。目的に応じてSubDなどに変換します。 |
⑤ CAD化 (オプション) | Mesh2Surface プラグイン | 自動フィーチャー抽出機能を使い、メッシュから編集可能なNURBSサーフェスを生成します。 |
⑥ 解析・リメイク | Grasshopper | ラティス化やボロノイ化など、独創的なデザインへ展開。アドオンを使えば応力解析なども可能です。 |
【目的別】Rhinoと相性の良いおすすめ3Dスキャナー3選
メイン対象物の30cm角以下のものを撮りたい方にお勧め!
Matter and Form THREE

Matter and Form THREEは低価格帯ながらも高い再現率でスキャンができる3Dスキャナー。通常スキャナーの使用にはハイスペックPCが必要ですが、Matter and Form THREEでは必要ないのでハイスペックPCを持っていないユーザーやMacユーザーにもおすすめ
40cm以上の大型スキャン、人体フィットパーツにはコレ!
EinStar

EinStarはハイエンド機も出しているShining3Dが提供する3Dスキャナーで低価格帯ながらも高いトラッキング性能でスキャンができます。人体や車にフィットするパーツ製作などはRhinocerosとこれがあれば問題ありません。
業務レベルや高い精度要求、建築系の一部で使うならコレ!
EinScan Libre

Shining3Dのハイエンド3Dスキャナー。スタンドアロンで使用でき、様々な光源をもっているので幅広い用途で活躍可能。超大型スキャンも可能で十メートル級のモデルにも使用できるため、FARO FocusやライカBLK360などといった空間スキャナーとも組み合わせて使用することもできます。
「買って終わり」にしない!スキャンデータのビジネス活用アイデア
3Dスキャナーは、モデリング作業の効率化だけでなく、ビジネスの様々な場面で価値を生み出します。
社内パーツライブラリの構築 繰り返し使用する部品や治具をスキャンし、Rhinoのブロック機能でライブラリ化。設計を始める際に、共通部品をドラッグ&ドロップで呼び出せるようになり、作業が劇的にスピードアップします。
Grasshopperでテンプレート化 Grasshopperを使い、「スキャンデータ読込 →データの置き換え→ ラティスデータ作成」という一連のプロセスを自動化。ボタン一つで様々なデザインが実現します。
ARを活用したクライアント提案 Rhinoで最適化したメッシュデータをUSDZやglTF形式で書き出し、iPadやスマートフォンのAR機能で実寸大表示。クライアントは、その場で質感やスケール感を含めたリアルなレビューが可能になり、商談の成功率を高めます。
まとめ:Rhinoと3Dスキャナーで、モデリングの次元を引き上げよう
かつては高価で専門知識が必要だった3Dスキャンですが、今は状況が大きく変わりました。
Rhino 8の進化: ShrinkWrapやSubD機能が標準搭載され、スキャン後のデータ処理が格段に簡単になりました。
強力なプラグイン: Mesh2Surfaceのような専用プラグインを使えば、スキャンからCAD化までをRhino内で完結できます。
低価格・高性能化: 精度0.1mmクラスの高性能な卓上スキャナーが、かつての1/5以下のコストで導入できるようになりました。
Rhinoだけでは捉えきれなかった“現実世界のリアルな形状やニュアンス”を、3Dスキャナーであなたのデザインワークフローに取り入れてみませんか?次のプロジェクトから、作業時間と精度の両方が、確実に一段階レベルアップするはずです。
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