【徹底比較】EinStar vs EinStar Vega 3Dスキャナー|性能・価格・用途の違いと選び方を分かりやすく解説!
- 株式会社Seed3D
- 4月22日
- 読了時間: 10分

近年、手頃な価格で高性能な3Dスキャナーが登場し、ホビーからビジネスまで、その活用範囲が広がっています。中でも、Shining 3D社の「EinStar」シリーズは、その使いやすさとコストパフォーマンスで注目を集めています。
しかし、「EinStar」には基本モデルの「EinStar」と、その上位版である「EinStar Vega」が存在し、「どちらを選べば良いのか分からない」という声も聞かれます。
この記事では、EinStar vs EinStar Vega ということで2機種の主な違いに焦点を当て、それぞれの性能、価格、得意な用途を徹底比較します。あなたが3Dスキャナーを選ぶ上で、どちらのモデルが最適なのか、判断するための情報を提供します。

EinStarとは? - 手軽に始められるスタンダード3Dスキャナー

「EinStar」は、Shining 3Dが提供するエントリーモデルのハンドヘルド3Dスキャナーです。
手頃な価格と直感的な操作性を両立し、3Dスキャン初心者やホビイスト、教育機関にとって最適な選択肢の一つとなっています。
EinStarの主な特徴
導入しやすい価格帯: 高機能ながら比較的手頃な価格で、3Dスキャンを始めるハードルを下げています。
シンプルな操作性: 専用ソフトウェア「EXStar」と組み合わせることで、初心者でも比較的簡単に高品質な3Dデータを取得できます。
高い基本性能: 中型から大型のオブジェクトのスキャンに適しており、趣味の造形物、簡単なリバースエンジニアリング、3Dプリント用データの作成などに活用できます。
カラーテクスチャ対応: オブジェクトの色や模様も同時にスキャンし、リアルな3Dモデルを作成可能です。
EinStarはこんな人におすすめ
初めて3Dスキャナーを購入する方
小物より大型の物のスキャンを考えている方(車体ボディ、内装などもふくめて)
教育機関で3Dスキャンの基礎を教えたい方
予算を抑えたい方
EinStarの基本スペック(代表値)
光源: 赤外線VCSEL
形状、マーカー、カラートラッキング搭載
スキャン速度: 最大 14 FPS 程度
要パソコン
EinStar Vegaとは? - 進化した高性能・多機能モデル

「EinStar Vega」は、EinStarの基本性能をベースに、さらなる高性能化と機能拡張を実現した上位モデルです。特に、EinStarでは難しかった特定の条件下でのスキャン能力が大幅に向上しています。
EinStar Vegaの主な特徴
【最重要】屋外スキャン対応: 電源、パソコン要らずでスキャンできる一台。小物も大物も一台で対応できるので、野外での使用に最適。
【重要】2つの光源でスキャン性能向上: MEMSとVCSELという二つの光源の搭載により、EinStarでは苦手とされていた小物のスキャン精度が向上し、ディティールの必要なものの3Dスキャンがより容易になりました。
高速・高精度スキャン: EinStarよりもスキャン速度とデータ取得精度が向上しており、より効率的で詳細な3Dデータを作成できます。
向上したディテール表現: HDモード搭載により点群距離がより細かくなり、オブジェクトの細かな形状やカラーテクスチャを捉える能力が向上しています。
シンプルな操作性: ワイヤレス、コードレスでの使用ができるため、持ち出しに便利。
EinStar Vegaはこんな人におすすめ
屋外で3Dスキャンを行いたい方(現場作業、屋外設置物のスキャンなど)
より高い精度やスキャン速度を求める方
EinStarからのステップアップを考えている方
多様な環境・対象物に対応できる汎用性を求める方
EinStar Vegaの基本スペック(代表値)
光源: VCSEL 赤外線、赤外線MEMS
スキャン速度: 最大 16 FPS 以上 (EinStarより高速)
トラッキング:形状、マーカー、カラートラッキング搭載
【スペック比較】EinStar vs EinStar Vega スペック・機能比較表
両モデルの主な違いを表にまとめました。
機能・スペック | EinStar | EinStar Vega | 備考 |
光源 | VCSEL赤外線 | VCSEL 赤外線 赤外線MEMS | Vegaは外部光に強く、安全性も高いとされる |
スキャン速度 | 最大 14 FPS 程度、トラッキング能力◎ | 最大 16 FPS 以上トラッキング能力○ | スペック上Vegaの方が高速になっているが、体感はEinStar (ただし、パソコンスペック依存) |
点群距離/解像度 | 標準 | より高精細なモードあり | Vegaは小物のディテール表現が向上 |
屋外スキャン | △(電源が必要、パソコン持ち出しの必要もあり) | 〇 (可能) | Vegaの最大の強みEinStarではカラートラッキング性能が落ちる |
推奨用途 | 入門、ホビー、教育、車のボディ、内装、大型のアート作品など | 屋外利用、人物、汎用、車の内装、デジタルアーカイブ | |
価格帯 | 15万程度 | 30万程度 | 予算に応じて選択。EinStar は別途スペックを満たすPCが必要なためそちらも費用として計算する必要あり |
カラー | ○ | ◎ (48MPカラーカメラ) | |
推奨目安サイズ | 15~20cm以上3~4m以下 | 5cm以上2~3m以下 | EinStar の方が大物が強いが小物はVegaに軍配 |
光沢 | 不可(スプレー塗布後は可) | 不可(スプレー塗布後は可) | 基本3Dスキャナーはレーザー機種以外は反射は難しい |
【比較】いざ実測!!
ここでは、EinStarとEinStar Vegaの性能差をより具体的に比較するため、実際にいくつかのオブジェクトをスキャンしてみました。
今回は、あえてスキャンが難しいとされる「小型~中型オブジェクト」と「屋外オブジェクト」を選定。比較条件を揃えるため、マーカーや反射防止スプレーは一切使用せず、スキャナー本体の性能を直接評価します。
テスト1:小型~中型オブジェクト(15cm × 10cm × 8cm)
まずは、比較的小型ながらも、ある程度の大きさを持つオブジェクト(15cm × 10cm × 8cm)をスキャンしました。

結果: このサイズのオブジェクトであれば、EinStar、EinStar Vegaともに、形状をきれいに捉えることができました。 EinStarでも問題なくスキャン可能です。ただし、これよりもさらに小さなオブジェクトになると、EinStar Vegaの方が得意であるという印象を受けます。
テスト2:さらに小型のオブジェクト(iPhone 電源プラグ)
より小さな対象物での差を見るため、iPhoneの電源プラグをスキャンしました。金属部分を含むため、スキャナーにとっては厳しい条件です。

結果:
共通の課題: プラグの金属端子部分は、どちらのスキャナーでも光が反射してしまい、データが欠落しています。これは反射抑制スプレー等を使用しない場合の一般的な現象です。
差が出た点: 金属端子以外の部分、特にUSBコネクタ周りの形状再現度を見ると、EinStar Vegaの方が明らかに詳細まで捉えられています。
EinStarの課題: EinStarでは、プラグ全体の形状を正確に取得すること自体が難しく、特に裏面はうまくスキャンできませんでした。小型で複雑な形状、かつ反射しやすい対象物は苦手なようです。
テスト3:屋外オブジェクト(エアコン室外機)
次に、屋外でのスキャン性能を比較するため、エアコンの室外機を対象としました。屋外スキャンの難しさは、太陽光の影響でスキャナーが投射するパターン光がカメラで正確に読み取れず、データ化しにくい点にあります。

結果:
室外機前面(スリット部分など):
共通の課題: 室外機前面のスリット(細い溝)部分は非常にスキャンが難しく、通常はハイエンドな(例えば500万円クラスの)スキャナーでないと完全な再現は困難です。そのため、どちらのモデルでもある程度のデータ欠落はやむを得ません。
EinStar Vega: スリット部分を除けば、全体的に形状をきれいに捉えています。
EinStar: 位置ずれ(トラッキングエラー)が発生してしまいました。 主な原因として、屋外の強い光の下ではカラートラッキングがうまく機能しなかった点が挙げられます。EinStarが取得したカラーデータは直射日光で白飛びしてしまい、色情報を頼りに位置合わせをするのが困難になりました。室外機のように特徴の少ない単調な形状では、形状のみでのトラッキングも難しく、結果としてエラーにつながったと考えられます。
(※補足:EinStarでも付属のマーカーシールを貼れば屋外スキャンは容易になりますが、今回は未使用のため性能差が出ました。)

室外機側面:
一方で、比較的特徴のある室外機の側面部分では、EinStarでも良好な結果が得られました。中型~大型オブジェクトの形状把握を得意とするEinStarの特性が活かされ、リバースエンジニアリングや参照モデリングに活用できるレベルのデータが取得できています。

実測からの考察
今回の比較テストから、以下の傾向が見られました。
EinStar Vega:
より小型で複雑な形状のオブジェクトの再現性が高い。
屋外環境や、太陽光の影響下でも安定したスキャンが可能。
カラートラッキング性能が向上しており、特徴の少ない対象物でも位置ずれしにくい。
EinStar:
一定サイズ以上(中型~)のオブジェクトであれば、良好な形状データを取得可能。
屋外や強い光の下では、カラートラッキングが不安定になりやすく、特徴の少ない対象物ではマーカーが必要になる場面が多い。
金属などの反射しやすい小型オブジェクトは苦手な傾向。
マーカーやスプレーを使わない素の状態での比較では、特に屋外環境と小型オブジェクトにおいてEinStar Vegaの優位性が確認できました。一方で、屋内での中型~大型オブジェクトであればEinStarも十分に活躍できるポテンシャルを持っていると言えます。
用途別おすすめ診断:あなたはどちらを選ぶべき?
あなたの主な用途に合わせて、どちらのモデルが適しているか見てみましょう。
【ホビー・DIY用途】
EinStar: 屋内での使用がメインなら十分。コストパフォーマンスが高い。別途スペックを満たすパソコンがあり、小物を撮る予定がないならこっち。
EinStar Vega: 少し予算を上げてでも、小さいものと大きいものどっちも撮りたい、たまに人物もスキャンしたい場合に検討。
【教育機関】
EinStar: 導入コストを抑え、基本的な3Dスキャンの概念や操作を教える目的なら最適。人間工学や医療分野といった特定の用途が決まっている大学や研究にはこちら
EinStar Vega: 屋外でのフィールドワークや、より高度なプロジェクト、汎用的な用途(大学のファブ施設など)も視野に入れるならVega。
【小規模な製品開発・リバースエンジニアリング】
EinStar: 部品の基本的な形状取得や、寸法測定(参考程度)なら可能。中サイズから大サイズが目安
EinStar Vega: 小物スキャン(15cm以下)や細部の再現性が求められる場合、または屋外設置部品のスキャンが必要な場合はVegaが有利。
【人物スキャン(ポートレート、アバター作成など)】
EinStar: 腕や足といった特定の部分撮影には高いトラッキング能力があるのでEinStar の方がおすすめ。
EinStar Vega: テクスチャ性能(カラーデータ)が向上しているため、人物全体を綺麗にスキャンしたいなら断然Vegaがおすすめ。
【屋外での利用(現場作業、考古学、文化財調査など)】
EinStar: スキャンは可能だが、電源の確保が必要なため制限がある。また、別途パソコンが必要
EinStar Vega: 屋外スキャンに対応しているため、利便性を求めるならVega一択。また、カラー解像度も高く、野外でも質の高いフルカラースキャンができる。
メリット・デメリットまとめ
EinStar
メリット:
導入しやすい価格
初心者でも扱いやすい
高額機種にも劣らない性能
デメリット:
別途パソコンと電源確保が必要
小物のスキャンが苦手
Vegaと比較すると汎用性で劣る
EinStar Vega
メリット:
屋外での安定したスキャンが可能
EinStarより小物に強い
幅広い用途に対応できる汎用性
デメリット:
EinStarよりも価格が高い
2m以上の大型スキャンになるとEinStarの方が優位
まとめ:あなたのニーズに最適なEinStarを選ぼう!
EinStarとEinStar Vegaは、どちらも優れたハンドヘルド3Dスキャナーですが、明確な違いがあります。
EinStar: 「価格を抑え、まずは3Dスキャンを始めてみたい」「屋内での利用がメイン」 という方におすすめのスタンダードモデルです。
お買い求めはこちらから

EinStar Vega: 「屋外でもスキャンしたい」「人物やデジタルアーカイブなどでカラーデータもより綺麗にスキャンしたい」「小物のスキャンがメインでたまに大きなものも撮りたい」「より高い性能・汎用性が欲しい」 という方におすすめの高性能モデルです。
お買い求めはこちらから

最大の違いは、「屋外スキャンへの対応」 と 「小物への対応の可否」 です。これらの機能が必要かどうかで、選択は大きく変わるでしょう。
あなたの予算、主な用途、そして求める性能レベルを考慮し、最適な一台を選んで、3Dスキャンの可能性を広げてください。
低価格3Dスキャナーの納入をお悩みの方!低価格3Dスキャナー選定ガイドを無料配布中!
低価格3Dスキャナーの活用シーン、人気メーカーなどをまとめた一覧表を無料で配布中!
3Dスキャナー導入を迷われている方はぜひこちらから
