【2025年最新】3Dスキャナーのポストプロセスソフト徹底比較!無料・有料ツールの選び方
- 大橋竜也

- 7月28日
- 読了時間: 7分

3Dスキャナーを導入したものの、「取得したデータをどう活用すればいいかわからない…」と悩んでいませんか?
その鍵を握るのが、スキャンデータを実用的な3Dモデルに変換する「ポストプロセス(後処理)」です。この工程がなければ、高価な3Dスキャナーも性能を活かしきれません。
この記事では、ポストプロセスに不可欠なソフトウェアに焦点を当て、無料・有料ツールの違いから、あなたの目的に合った最適なソフトを選ぶためのポイントまでを徹底解説します。
なぜポストプロセスは不可欠なのか?
3Dスキャナーで取得した直後のデータは、「点群」、と呼ばれる無数の点の集まりに過ぎません。近年ではメッシュに変換までできるものも多いですが、そのままではノイズやデータの欠損が多く、CADソフトで設計したり、3Dプリンターで出力したりすることは困難なデータもあります。ポストプロセスでは、主に以下の処理を行い、この「生データ」を「使えるデータ」へと変換します。
クリーンアップ: ノイズ除去、位置合わせ
修復・最適化: メッシュの穴埋め、フィーチャーを削除、データ容量の削減など
パラメトリックモデル(一般的なCAD)化: スキャンデータを適切なXYZ座標に配置、モデリング
この工程を経て、初めてリバースエンジニアリングやデジタルアーカイブといった高度なデータ活用が可能となります。

3Dスキャナーのポストプロセスソフト選びで失敗しない7つの比較ポイント
最適なソフトを選ぶためには、以下の7つのポイントを基準に比較検討することが重要です。
対応フォーマット: スキャナーやCADソフトで扱う形式(STL, OBJ, PLY, STEP, IGESなど)に対応しているか。
メッシュ編集機能: 穴埋め、リダクション(ポリゴン削減)、リトポロジーなど、編集機能の豊富さ。
自動化・AIアシスト: ワンクリックでの自動修復や一括処理機能の有無は、作業時間に大きく影響します。
寸法精度・検査ツール: スキャンデータから作成したCADとの差異を可視化する偏差解析(カラーマップ)は品質検査には必須です。
CAD連携機能: メッシュからCADで扱えるサーフェス/ソリッドデータへ変換できるか。また、ソフトによってはモデリング機能そのものも搭載し、ほかのCADにツリーごと移行できるものも。
データ処理性能: 数百万〜数千万ポリゴンに及ぶ大容量データを快適に扱えるかは、実務上のストレスを左右します。
サポート体制: 特に業務で使う場合、日本語対応や国内代理店による技術サポートの有無は重要な安心材料です。
【無料】で使える代表的なポストプロセスソフト4選
学術研究やホビーユース、あるいは業務でのお試しであれば、商用利用可能な無料のオープンソースソフトウェアが有力な選択肢です。
ツール名 | 主な特徴 | 向いている用途 |
MeshLab | オープンソースで学術界隈で有名。フィルタが豊富で多様なメッシュ処理が可能。 | 学術研究、簡易的なデータ可視化、データ形式の変換 |
CloudCompare | 点群処理からメッシュ比較までこなす高機能ツール。偏差解析機能が強力。 | 土木測量、文化財の記録、研究開発でのデータ比較 |
Blender | 統合3DCGソフト。アドオン追加で高度なリトポロジーやUV展開が可能。 | アート、キャラクターモデリング、VR/ARコンテンツ制作、CG作成 |
Meshmixer | (開発終了)直感的な操作で粘土のように形状を編集可能。3Dプリント前の簡易修正に便利。 | 3Dプリント前のデータ修正、簡単な形状合成 |
✅ メリット: 導入コストがゼロ。 ❌ デメリット: 公式サポートがなく自己責任。また、3Dスキャンデータの修正は学ぶためのリソースも少ない分野なので業務利用には限界があります。
【有料】プロ向けポストプロセスソフトの代表例と価格帯
製品設計や品質検査など、精度・効率・信頼性が求められる業務では、プロ向けの有料ソフトウェアが活躍します。
ツール名 | 主な特長 | 価格帯の目安(※) | 主な強み |
Geomagic® Design X™ | スキャンデータからCADモデルを作成するリバースエンジニアリングの業界標準ソフト。 | 高価格帯(250万円~) | スキャンデータからのソリッドモデリングの機能が豊富。また、Livetransfer機能により、CADにデータをツリーごと移行できる。 |
Quicksurface | 手頃ながら、スキャンデータからCADへのブリッジングに必要な機能を網羅。 | 中価格帯(数十万円~)※年間サブスクリプション | 基本的なリバースに必須機能は搭載しており、モデリングも可能。スキャンデータからのサーフェス作成が強み |
Mesh2Surface | SOLIDWORKSやRhinoのアドインとして動作。使い慣れたCAD上で直接作業できるのが強み。 | 低~中価格帯(20万円~)元のソフトに依存 | スキャンデータからのサーフェスの作成がしやすい。既存ソフトをベースにしており、安く、習得が比較的しやすい |
※価格はライセンス形態(永続/サブスク)、為替、販売代理店により大きく異なります。あくまで一般的な目安としてご参照いただき、正確な価格は各販売代理店にお問い合わせください。
✅ メリット: 高精度・高機能で、ワークフローの自動化が可能。公式サポートも充実。 ❌ デメリット: 初期コストが高い。性能を引き出すには高性能なPCが必要。
無料か有料か?目的別の選び方
判断軸 | 無料ツールが適するケース | 有料ツールが不可欠なケース |
目的 | 教育、趣味、簡単な試作 | 製品設計、品質検査、リバースエンジニアリング |
精度要求 | mm単位の誤差が許容できる | µm単位の厳密な精度が求められる |
効率性 | 手作業で時間をかけても良い | ワークフローの簡潔化で時間と人件費を削減したい |
サポート | Webフォーラムで自己解決できる | 迅速な公式サポートが必要 |
結論として、学習段階では無料ツールを、ビジネスフェーズでは「時間と品質」を重視し、有料ツールを導入するのが成功への鉄則です。
迷ったらこれ!費用対効果で選ぶなら「Geomagic Wrap for 3Dmakerpro」

「有料ソフトは必要だが、いきなり最高峰モデルはハードルが高い…」という企業に最適な選択肢として、Geomagic Wrap for 3Dmakerproをご紹介します。
これは、ハイエンドソフトで有名なGeomagicシリーズのパワフルな機能を、低価格帯のスキャナーユーザー向けに最適化した、まさに“費用対効果の高いプレミアム選択肢”です。
また、簡易的なメッシュ編集機能のみのLiteとCADへの移行、より高度な修正を加味したEssentialの二つのプランがあり、価格的にも機能的にも満足いく商品となっています。
Liteの特徴:
大容量メッシュも軽快: 数千万ポリゴン級のデータもストレスなく高速に処理。
優秀なメッシュ・点群編集機能: CGソフトやCADでは難しいスキャンデータの修正を高速で処理。

Essentialの特徴:
Liteのすべての機能
ワンクリックオートサーフェス化: 複雑なメッシュデータも、ワンクリックでCADで扱える高品質なサーフェスへ瞬時に変換。STEP、IGESなどの中間拡張子で出力
高精度フィーチャ抽出: 平面・円柱・円錐などの幾何形状を数クリックで認識し、設計のベースを作成。
CADの移行時に必須な精密原点位置合わせ:高精度で抽出したフィーチャから設計用途に合わせてスキャンデータの原点の位置や左右対称になるようなデータ配置などが可能

どちらも安心の日本語UI & 国内サポート: 安心の日本語の操作画面と、国内サポート。また、必要に応じて有償のトレーニングも行っております。
高機能と導入コストのバランスが取れたこのパッケージは、これから本格的にスキャンデータをCAD/製造工程、CGなどへ活用したい企業にとって、最適な一歩となるでしょう。
自社のデータで処理速度や精度を検証したい、導入に関する相談をしたい場合は、【株式会社Seed3D】までお気軽にご連絡ください。
まとめ
3Dスキャナーのポストプロセスソフトウェア選びは、データ活用の成否を左右する重要な決断です。
目的を明確に: 何のために、どのレベルの精度と効率が必要かを定義しましょう。
無料ツールで試す: ホビーユースや学習段階では、無料ツールで基本を学ぶのが有効です。
ビジネスには投資を: 業務で使うなら、作業時間と品質をコストで買うという発想で、信頼できる有料ソフトとサポート体制を選びましょう。
この記事が、あなたの3Dスキャンワークフローを最適化する一助となれば幸いです。









