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3D生成AIで3Dスキャナーは不要になるのか?TripoAIとMatter and Form THREEを比較検証

更新日:7月9日

3Dモデル作成の未来:生成AI vs. 3Dスキャナー、どちらが優位か?


近年、3Dモデル作成の分野では、「3D生成AI」の台頭が目覚ましい一方で、「実機による3Dスキャナー」も依然として重要なツールとしての地位を確立しています。果たしてAIはリアルなスキャン技術を完全に代替できるのでしょうか?本記事では、それぞれの技術の仕組み、利点、そして具体的な比較を通じて、3Dモデル作成の未来について考察します。


1. 急成長する3D生成AI「TripoAI」とは?


「TripoAI」に代表される3D生成AIは、数枚の写真から自動的に3Dモデルを生成する画期的なツールです。物理的に実物をスキャンする必要がないため、そのスピードと手軽さが最大の魅力です。

3D生成AI「TripoAI」

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TripoAIの仕組みと利点


  • 写真からの自動生成: スマートフォンで撮影した写真など、手軽な画像データから3Dモデルを生成します。

  • 迅速なプロトタイピング: デザインの初期段階で迅速に3Dモデルが必要な場合に最適です。

  • 幅広い用途: ゲーム開発やAR/VRコンテンツ制作、広告用途の視覚化など多岐にわたる分野での活用が期待されています。

  • 手軽な機材: 専用スキャナーは不要で、一般的なPCやスマートフォンがあれば利用を開始できます。

  • 出力形式: .glbや.objなど、汎用的な3Dファイル形式で出力が可能です。


ただし、その手軽さの裏には、精度や再現性における課題も存在します。


2. 高精度3Dスキャンを実現する「Matter and Form THREE」


一方、「Matter and Form THREE」のような実機による3Dスキャナーは、物理的に実在する物体を正確にデジタルデータ化する技術です。高解像度のカメラとプロジェクターパターンを組み合わせ、対象物の点群データと高精細なテクスチャを直接取得します。


Matter and Form THREEの特長


  • 圧倒的な高精度: 対象物の形状をミリ単位で正確に捉え、細部のディテールを忠実に再現します。

  • 忠実な質感再現: 実物のテクスチャや色情報を直接取得するため、非常にリアルな質感が得られます。

  • 多様な用途: CAD設計、リバースエンジニアリング、文化財デジタルアーカイブ、品質検査、小型部品の精密スキャンなど、高精度が求められる専門分野では不可欠です。

  • スキャン対象: フィギュア、小型機械部品、美術品、骨董品など、形状の複雑な物体でも高精度でスキャン可能です。

  • 後処理の自由度: スキャンデータは3Dモデリングソフトウェアでさらに編集・加工が可能です。


Matter and Form THREEはその高い精度ゆえに、専用の機材、スキャン時間、そして後処理の手間が必要です。


Matter and Form THREE本体

3. TripoAI vs. Matter and Form THREE:徹底比較


項目

TripoAI(3D生成AI)

Matter and Form THREE(実機3Dスキャナー)

モデル生成方法

写真からAIが自動生成

実物を構造化光(プロジェクター+カメラ)でスキャン

精度

中程度(デフォルメが発生する場合あり)

高精度・高解像度

必要な機材


専用3Dスキャナー本体が必要

適した用途

ゲーム制作、AR表示、簡易プロトタイピング

設計・製造・文化財保存・リバースエンジニアリングなど精密用途

実物の質感再現

テクスチャはAIによる疑似生成

実物から撮影されたテクスチャを使用

再現性

写真の質・枚数とAIの能力に依存し形状の誤認識の可能性あり

対象物の形状を忠実にスキャン

費用対効果

初期コストが低く短時間でモデル生成可能

高精度データを取得でき、長期的には高い価値を提供


4. 実例で見る精度:高繊細置物モデリング比較


実際に同じ置物を「TripoAI」と「Matter and Form THREE」でモデリングした例を比較してみましょう。

実物
  • TripoAIでのモデリング: 制作時間約3分

- 一部の複雑な形状がAIによって作成されているため、デフォルメ化や推測による形状変更が見られました。

- テクスチャはきれいに表示されており、変更が加わっていますが、仕上がりは良好です。

- 写真では見えにくい背面などの情報は特に不正確になる傾向があります。

- カラーを外すと、凹凸の再現ができていないことが分かります。

TripoAIでのカラーモデリング

カラーなしTripoAI
  • Matter and Form THREEでのモデリング: 制作時間約 15~20分

- フィギュア全体のディテールが忠実に再現され、細かい彫の凹凸も正確に取得されていました。

- 形状の欠損もなく、実物と寸分違わぬ高精度な3Dモデルが生成されました。


Matter and Form THREEで取得したカラーデータ
Matter and Form THREEで取得した3Dデータ

Matter and Form THREEでのカラーなしデータ
Matter and Form THREEのカラーなしデータ

この比較からも、現在の3D生成AIは、「実物を正確に写し取る」より、近しいモデルを作成する用途に限られていることが分かります。


5. 今後の展望:置き換えか、共存か?


結論として、3D生成AIが現在の3Dスキャナーの役割を完全に置き換えるには、まだ多くの課題が残されています。しかし、両者の特性を理解し、適切に使い分けることで、3Dモデル作成の可能性は大きく広がります。


  • AI生成が優位な場面:

- 迅速なプロトタイピングやコンセプト検討

- ゲームやAR/VRコンテンツの簡易的な低予算アセット作成

- デザインの初期段階でのアイデア出し

- 手軽さやスピードが最優先される場面


  • 3Dスキャナーが不可欠な場面:

- 製品設計や製造における精密なデータ取得

- リバースエンジニアリング

- 文化財や歴史的遺産のデジタルアーカイブ

- 品質検査や寸法測定

- 実物の質感を忠実に再現する必要がある場合

- 医療分野や研究開発

- フィギュアなど同じ形状を再現しなければならない状況


結論:共存の時代へ


3D生成AIは、その手軽さとスピードで3Dモデル作成の敷居を下げ、より多くの人々が3Dコンテンツに触れる機会を提供します。一方、Matter and Form THREEのような実機3Dスキャナーは、精度、忠実性、信頼性の面で依然として代替不可能な役割を担っています。今後、AI技術がさらに進化し、その精度が向上していくことは間違いありません。しかし現段階では、3D生成AIは3Dスキャナーの「代替」ではなく、「補完」する関係にあると言えます。それぞれの技術の強みを活かし、目的に応じた最適なツールを選択する「共存の時代」が、まさに今、訪れています。


3Dスキャナーや3D生成AIについて詳しく聞きたい方はこちらから


3D生成AIや3Dスキャナーは日々進化を遂げています。今最善の選択をするには専門家に相談するのが最短ルートです。業務上での使用や副業での使用など、なんでもご相談ください。



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