3Dスキャナー導入で後悔しないために!ありがちな失敗ケースと成功の鍵を徹底解説
- 大橋竜也

- 10月10日
- 読了時間: 6分

製造業、デザイン、教育、研究など、様々な分野で3Dスキャナーの活用が広がっています。しかし、「高額な投資をしたのに使えていない」「思っていたようなデータが出なかった」といった失敗談も少なくありません。
本記事では、3Dスキャナー購入時に陥りやすい6つの失敗ケースを深掘りし、導入を成功させるための具体的なチェックポイントを解説します。「とりあえず導入」で失敗しないための必読ガイドです。
なぜ失敗する?3Dスキャナー導入で後悔する6つのパターン
3Dスキャナー導入でよくある失敗は、機械の性能不足よりも、「運用」に関する見落とし、3Dスキャナーに対する認識不足が原因であることがほとんどです。普通に生きていたら3Dスキャナーのことなんて知らない方が普通なので購入担当者はしっかりと事前に調べる必要があります。また、わからないことがあったら「営業面倒そうだから問い合わせするのはなぁ。」と思うのではなく、しっかりと問い合わせましょう。
ここではあなたの組織で同じ過ちを犯さないように、購入でよくある6つの失敗パターンをまとめました。

1. 用途、事前調査の「ミスマッチ」
失敗の事例
「現在手作業での測定検査をしているので、置き換えとして3Dスキャナーを購入、想像した以上にマーカーを貼る手間や事前準備が必要で普通に手動での測定の方が早かった。また、別途測定用のソフトウェアが必要だと知らなかった」
失敗の原因
カタログの数値やランキング情報、メーカーが載せているスキャン結果だけを信用し、実際のデモ(測定対象物のスキャン、動作にかかる時間)を具体的に考慮しなかった。また、本体のみに気を取られ、全体のプロセスとして把握できていなかった。
成功のポイント
導入前に「何を(サイズ・材質・形状の難易性)」「どこまで(用途に対して必要なデータ)」測定したいかを明確にする。
実機でのデモやサンプルスキャンを実施する。
あくまで3Dスキャナーはstlファイルをはじめとする「3Dデータを取得する」ためのもの。編集、測定は別での検討が必須
2. ソフトウェア・ワークフローの「連携不足」
失敗の事例
「スキャンデータは取れたが、自社の3Dスキャナーの付属ソフトで編集や計測ができると思っていた。また、リバースエンジニアリングをやりたかったのに、スキャンデータをCADに入れたけどそのあとどうしたらいいのかわからない。」
失敗の原因
スキャナー単体の性能に目が行き過ぎ、その後の後処理ソフトウェアや既存システムとの連携を軽視した。
成功のポイント
具体的にしたい内容をまとめる。
その内容を専門家に伝えて、自社にあるソフトで何とかなるのか、追加ソフトが必要なのか事前に確認し、現在の業務フローにスムーズに組み込めるかの検証

3. 操作難易度の「軽視」
失敗の事例
「高機能な機種を選んだが、操作が複雑すぎて現場の担当者や学生が使いこなせず、結局一部の人しか使わない “お飾り”になってしまった。また、データは撮れたもののポストプロセスの処理ができなかった。」
失敗の原因
現場のスキルレベルや運用体制を考慮せず、オーバースペックな機種を選んでしまった。
成功のポイント
「誰が」「どの程度の頻度で」使うのかを基準に、操作の簡単さを重視する
ポストプロセスの習熟にかかるコスト(教育時間)も重要
4. 設置環境・対象物との「相性問題」
失敗の事例
「工場の現場で使おうとしたが、対象物の光沢や黒色の材質、単純形状や薄肉すぎる形状、あるいは現場の照明条件や粉塵、振動の影響でスキャンエラーが多発してデータ取得自体がそもそもできなかった。」
失敗の原因
測定対象の材質(透明・光沢・黒色)、形状(薄肉、スキャンサイズ、単純形状)や設置・運用環境(明るさ、狭さ、汚れ、振動)への適合性を考慮しなかった。
成功のポイント
粉体スプレーやターゲットシールの使用の可否を確認する
スキャン対象物に対して適した機種なのか
屋外対応の可否、十分なスキャン環境が必要なモデルか
など対象物と環境への適合性を必ずチェックしましょう。
5. 導入後の「サポート不足」
失敗の事例
「安価な海外製スキャナーをECで直販し輸入したが、トラブル発生時にサポートが受けられず、修理や問い合わせに時間がかかり業務が滞った。また、英語やカタコトの日本語サポートでうまく意思疎通ができなかった」
失敗の原因
本体価格を最優先し、販売代理店やメーカーのサポート体制、保証期間を軽視した。
成功のポイント
国内サポートの有無
3Dスキャナーに詳しい営業、サポート担当の存在の有無
特に業務利用の場合、長期的に信頼できるサポート体制は必須です。国内での対応実績、マニュアルの充実度、誰が責任を持って支援してくれるかを必ず確認しましょう。
例えば、弊社でMatter and Form THREEを購入いただいた場合は、万が一故障しても3品まで無償で大体スキャンサービスを行っております。また別途有償にはなりますが、購入者価格で故障期間中のデモ機貸し出しも可能なので「プロジェクトの途中で故障してしまった」という場合にも安心してご使用いただけます。
Matter and Form THREE

6. コスト計算の「誤り」
失敗の事例
「本体価格は予算内でECサイトで直買いしたが、専用ソフトのライセンス費用、高性能なPCへの買い替え、メンテナンス費用が想定以上にかかり、総コストが予算オーバーした。結局買ったスキャナーは今も眠っている。」
失敗の原因
導入時の総コストではなく、本体価格のみで判断してしまった。やりたいことで判断せず、機種性能のみで判断し、専門家に聞かずに自分の判断だけで購入してしまった。
成功のポイント
本体価格以外に、以下の維持・運用コストも計算に入れて総額を把握しましょう。
高性能なPC(推奨スペックの確認)
ポストプロセスのソフトウェアライセンス(年間サブスクリプション費用、アップデート費用、)
消耗品(スプレー、ターゲットシール)
メンテナンス・年次校正費用(主にハイエンド機種)
まとめ:3Dスキャナー導入を成功させるための「問い」
3Dスキャナーの導入は、単なる機器の購入ではなく、「新しいワークフロー」への投資です。失敗を防ぐには、「安かったから」「とりあえず導入してみよう」という動機を捨て、以下の問いに明確に答えられるまで選定を進めることが成功の鍵となります。
【導入前に自問すべき3つの重要ポイント】
用途の明確化: 「何を、どこまで、どれくらいの頻度で測定するのか?」
運用体制の確認: 「誰が、どのように後処理を行い、既存のシステムと連携させるのか?」
総額の把握: 「本体以外にかかる初期費用と、年間でかかる維持費用はいくらか?」
これらのポイントを抑え、実機デモを通じて納得のいく機種を選定することで、あなたのビジネスにおける3Dスキャナーの活用は大きく前進するでしょう。
購入の相談は?
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